役所で発行してもらう身分証明書に前科は記載されない?

落ち込んでいる男性のフィギュア

刑法犯罪を犯して警察などに逮捕されて検察に送検されると、犯罪の記録(前歴)が作成されます。一般に前科と呼ばれているものは、関係する省庁に保存されている前歴のことを指します。ちなみに公的な帳簿や法律用語には、“前科”と呼ばれる記録は存在しません。前科という呼び方は、単なる俗称です。

罪を犯して警察に検挙されると、48時間以内に検察に送検するか否かが決められます。送検されなければ釈放され、犯罪は無かったものになります。検察に送検されて起訴されると刑事裁判が行われますが、裁判で罰金刑以上の判決が出ると検察で記録が作成・保管されます。検察に保管される犯罪歴は裁判で起訴するための資料であり、他の目的に使用するために外部の組織に提供されることはありません。

検察とは別に身分証明事項と選挙人名簿調製事務のために市区町村でも犯罪人名簿が作成され、一定期間にわたり保管されます。これは本籍がある自治体が管理するもので、弁護士や医師などの一定の職に就く際の制限や選挙権・被選挙権の管理のために用いられます。刑の執行中または執行猶予の期間中は、自治体が管理する犯罪人名簿に登録されます。執行猶予期間終了したり刑期を終えて10年間が経過すると、犯罪人名簿から消えます。

起訴されて罰金刑以上の刑に処せられると犯罪歴が検察と地方自治体に登録されますが、これらの情報は犯罪者を起訴したり職業や参政権の制限の有無を確認するためだけに使用されます。検察に保管されている犯罪歴は検察官または検察事務官しか照会することができませんし、自治体に保存されている犯罪人名簿は基本的に参政権の有無のチェックだけに使われます。

役所では一部の国家資格の取得や免許証の発行を行っていますが、医師や弁護士などのように犯罪歴があると就けない資格を除いて犯罪人名簿の情報を使用することはありません。このため、自動車の運転免許証やボート免許証には犯罪歴に関する情報は記載されません。交通違反で免許取り消し処分を受けると一定期間にわたり免許の再取得ができなくなりますが、これは免許の交付前のことです。欠格期間が経過した後に運転免許を再取得する場合は過去の違反歴の影響を受けないので、免許証には犯罪歴や違反歴が記載されることはありません。

役所では犯罪に関するデータが記録される場合がありますが、免許証(身分証明書)には記載されません。本人確認のために役所が発行した身分証明書を提示したとしても、過去の犯罪歴を調べることはできないようになっています。

警察官が交通違反車両を検挙して免許を確認した場合に、無線で免許書の内容について照会をします。この理由は、運転免許証に記載されている情報を見ても過去の違反歴や犯罪歴の有無を確認することができないからです。